政治リーダーのルサンチマン
4月9日に久しぶりに開催された党首討論は、いい意味でも悪い意味でも、現在の日本の政治状況や政治のレベルを象徴する内容となりました。これまで低姿勢で野党に接していた福田首相も、溜まりに溜まったストレスを爆発させるような発言ぶり。「一つひとつの大事なことについて結論が遅いですよ」「二権のうち一つをお持ちなんだから、政治に対する責任もある」「誰とお話をすれば信用できるのか」「大変苦労しているんですよ、かわいそうなくらい苦労しているんですよ」「もう4人も否定したんですから、不同意で。そういうことは権力の濫用というんです。人事権の濫用というんです」。あれっ、クールな福田さんが切れた?
この党首討論に対する評価は分かれました。福田首相の肉声が聞けて、討論は初めて活性化した、との歓迎する意見。一方では、一国の首相と最大野党の党首の討論にしては、高邁な議論がなく、恨み言の羅列みたいで、レベルが低すぎるという批判。どちらもうなづけますが、私自身は今回の討論では、福田首相の恨みつらみの発散もいいが、党首討論をもっと頻繁に行い、次からは中味のある議論を展開してほしいと願います。それにしても、ふたりの討論がかみ合わない、つまり生産的な方向に向かわない。
小沢「自民党、与党が衆参で絶対多数を持っているという状況とは違うわけでありまして、私どもは少なくともこの間の選挙におきまして参議院で野党が過半数を国民からいただいたんです。ですから、内閣は二院制の中で一院しか多数を持っていないんです。こういう状況の中で政府・与党の出したことをみんなとにかく呑まなきゃいけないということではありえないんで、本来ならば予算編成の段階から色々と協議しようというならば協議するのが当たり前でございまして、多くの人が去年の7月の選挙でどういう事態が生じたのかということの認識が、私はなさ過ぎると思っているんです」
福田「権力は衆議院と参議院では分かれたと、時代が違うんだ、予算を作る前から相談しなさいと、こういうご趣旨でございましたけれども、しかしそれは与野党の協議ができれば、十分にできるんですよ。ですから、私は昨年の10月以来、もう本当に何度も何度もその政策協議したいということは申し上げてきたんですよ。ですから昨年の9月、10月、代表にお会いをしてお話しましたね。あの時の代表のお気持ちというのは、まさにそういうことにあったんだろうと思いますよ。その気持ちは今でも忘れてもらっちゃ困るんですよ」
なんだか別れた女への、女々しいラブコールのようですが、日本の政治のトップ同士の会話が、別れ話の恨みつらみになった例は、これまでなかったでしょう。小沢代表が言う「予算編成の段階からの協議」とは、まさに大連立ですが、小沢さんは、党内での自分の地位を守るために、もう福田さんに、いい顔はできません。日銀の副総裁人事でも、党内をほぼまとめた鳩山幹事長に対し、「自民党なんて騙してばかりだから、気にするな」と変な理屈で、またも不同意。鳩山さんは、ここで小沢さんに、またすねられて辞めると言われたら大変なので、小沢さんのわがままを聞くしかない。なんだか日本の政治が、ルサンチマンで動いているようで、褒められたものではありません。小沢さんが言う「去年の参議院選挙の結果に対する認識がなさすぎる」との指摘は、福田首相だけでなく、小沢代表に対しても向けられるべき言葉でしょう。二院のうちの一院の権力を握りながら、政局至上主義で反対ばかりしていることの問題に、あまりにも無自覚です。
こうした政治の停滞への不満のマグマは、若手議員の中でも爆発寸前です。そしてこの体たらくを解消しようという動きが、与野党を問わず、今後活発になってくるでしょう。政界随一の政局勘の持ち主である小泉元首相も、うごめきだしています。そうでなければ、日本の政治家は何をやっているのか、という議論になります。
[ 2008年04月13日 ]
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