「なぜ失敗し続けるのか」
2月29日、深夜までかかって来年度予算案を衆議院で通過させたものの、週明けの国会は野党の審議拒否で丸々一週間、開店休業となりました。衆参ねじれ状態の最も弱い部分が露呈しました。つまり参議院では野党が多数を握っている。野党が拒否すれば、会議が開けない。野党の抵抗が、そのまま国会の機能停止に直結する現実を突きつけられています。さすがにメディアからも批判が湧き上がっています。あの朝日新聞でさえ「参院で民主党は第1党なのだ。多数派は民主、共産、社民などの野党側である。それなのに少数派の戦術にしがみつくのは、発想が古すぎると言わざるを得ない。衆院での審議が不十分だったというなら、多数を握る参院でこそ、徹底的に審議する作戦で臨めばいいではないか。それが参院選で第1党の座を与えた有権者の期待に応える道ではないか」との論陣を張っています。
昨年の参議院選挙後、この「がく論」でも再三再四、私が訴えてきたように、衆参ねじれの中で国会を機能させるのは、対決の構図ではなく、与野党協議のルール化しかありません。年度末を控え、来年度予算は自然成立するものの、道路特定財源など税制改正法案は3月中に成立しなければ、市場や地方財政は大混乱となります。さらに日銀総裁の人事問題が、大きく政局を揺さぶっています。福井総裁の任期は今月19日まで。日銀総裁の不在は、戦後、例がなく、市場への影響や国際的な信用の失墜を招くことは必至です。
国会が意思決定できない、深刻な事態となっています。民主党は参議院で第1党となりました。明確な拒否権を持っています。しかし抵抗政党として拒否権を行使することに、血道をあげるだけでなく、国会の運営と国家の意思決定に、共同で責任を負うことこそ、「直近の民意」に応えることではないのか。そうでなければ、国家が成り立たない。
そんな折、イギリスのエコノミスト誌に「なぜ日本は失敗し続けるのか」との特集記事が掲載されました。日本の経済改革の停滞を批判した上で、日本の政治をめった斬り。
「責められるべきは、まず安倍前首相。改革派を自負した安倍氏は就任後、愛国教育などナショナリスト的なテーマを追求した。次には自民党の古参たちだ。福田首相の下で、自民党は昔ながらの派閥と権力のドン、特に中曽根・元首相と森・元首相、そして渡辺・読売新聞主筆の体質に戻ってしまった。福田首相は安倍前首相よりも日本の問題を理解しているが、福田首相には積極性も力もないようだ。3番目に責められるべきは小沢民主党代表だ。同僚との協議なしで裏で合意を取り付けるのは、リーダーとしてあるまじきことだ。最後に、有権者自身にも責任がある。総選挙は少なくとも有権者にとって、高いレベルの政治家を要求する機会となるだろう」(英エコノミスト・2月23日号、一部省略)
日本は政治も有権者も悪いから、「失敗し続けるのだ」と、イギリスのジャーナリズムから、足元を見られています。反論したいが、現在の国会の状況からすると、反論できる材料がありません。当面、3月末が政局の正念場になりつつあります。与野党がガチンコの対立のままでは、国家の運営がままならない。国民からは、国会全体へのブーイングが聞こえてきます。
道路予算がこれだけいい加減に使われていた実態が明らかになれば、道路中期計画の59兆円の積算根拠を、もう一度精査しなければならないでしょう。10年間の計画でいいのかも、立ち止まって再検討すべきです。その上で、年度末前後の混乱を回避する努力をしなければならない。与野党から政治の知恵が出てこなければ、日本は今後も失敗し続け、世界の孤児となってしまう、そんな厳しい局面を迎えています。
[ 2008年03月10日 ]
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