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GAKU論

「3分の2」を超える知恵

 議員生活も丸8年を迎えましたが、最近でも「参議院での大幅過半数割れ」「越年国会」そして「衆議院での3分の2再可決」などなど、初めての経験をする機会が続いています。特に昨夏の参院選後の衆参ねじれ状態で、国会対策副委員長に就任し、ねじれを身をもって体感する日々を送るうちに、国会の現状が、日に日に深刻化することを感じています。

 きのう(11日)の衆議院での3分の2再可決について、けさの新聞各紙の論調は様々です。
「人的貢献、長期戦略を」(日経)「政治の再生へどう踏み出すか」(読売)「禍根を残す自衛隊再派遣」(朝日)「新たに民意を問え」(道新)など、各紙の普段の論調が表れた紙面となっていますが、私が印象に残ったのは毎日の紙面。「混迷 未成熟の必然」「今回は非常手段と心得よ」「3分の2避け合意形成努力を」など、ねじれ下の国会のあり方を真正面から批判した記事を載せている点で出色であり、健全です。きのうの再議決に対して、けさの紙面で指摘すべきは、やはり今の国会のあり方でしょう。
 毎日・社説では「2院制である以上、1院の意思を別の院が多数で覆すやり方を、決して乱用すべきではない」「他方で、国権の最高機関がいくら時間をかけても、最終的な意思決定ができないような事態は、避ける必要がある」と前提づけた上で、一連の民主党の議会対応を批判して、「国益にかかわる課題が付託されているのに、まったく議論がかみ合わず、合意形成のめども立たない。この事態に至った限り、衆院3分の2による新テロ法の再可決は、やむを得ない」と結論づけています。毎日にしては、よくぞ言ってくれた、と思います。最後に「与野党ともこの数カ月を総括し、合意形成に向けて努力するよう望む」と締めくくっています。
 さらに政治部長による解説記事では、現在の国会は合意形成の努力を放棄している、と断じ、「国際貢献論議のこの混迷をもたらしたのは、政局至上主義を超えられない政治の未成熟である」と批判しています。その通り、しかし毎日を含めてメディアの報道姿勢も、正に政局至上主義でしょう。
 衆議院での3分の2再可決は憲法で認められた、衆議院の優越の一権能ですが、これは乱用すべきものではない、と私も思います。しかし現状の衆参ねじれ国会の下で、国家の意思が中々決定できないのであれば、政権の側は、この再可決の手法をとらざるをえない場面が、当然出てきます。その原因は、与野党とも、このねじれに慣れておらず、成熟した国会対応を体得しきれていないことにあると思います。
 現憲法下では、衆参のねじれは当然、有り得ます。今まで、あまりなかったことの方が、不思議です。この欄で、何度も指摘してきたことですが、与野党が協議し、国会としての結論を出していく、成熟した機能を、一日も早く獲得することが必要です。そうでなければ、政権側は、国家を運営していく上で、この3分の2を使わざるをえない。それは当然のことでしょう。野党は、それがいやなら、与野党の合意形成システムを作る努力をするべきです。
 野党は、参院選で示された「直近の民意」を尊重せよ、とよく言います。直近の民意とは何か。それは衆議院、参議院それぞれで、前回の選挙で示された有権者の意思です。衆議院でいえば、2005年の総選挙で示された有権者の意思によって与えられた、4年間の任期を前提とした議席です。その後実施された参院選によって、衆議院の意思が否定される、などということがあっていいはずがありません。そして憲法は衆議院の優越を認めているわけですから、今回の再可決は、なんら問題はありません。
 問題なのは、今の国会が「政局至上主義」に明け暮れ、「経済的影響力の低下と人的資源の縮小。国力衰退が進む中、国会がインド洋の給油継続の是非を巡る合意形成努力を放棄したのは、ただの偶然とは思えない。臨時国会が浮き彫りにしたのは『発信しない日本』の姿であった」(毎日)。これだけ厳しい状況にある日本について、国権の最高機関たる国会の機能を、いまこそ健全なものに戻すことこそが、きのうの再可決の結果、考えるべきことだと確信しています。

[ 2008年01月12日 ]


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