暫定税率をめぐる攻防
来年度の予算案が決まりました。通常ですと、これでやれやれ、正月を地元で過ごし、1月18日からの通常国会で予算案を成立させることになるわけですが、衆参ねじれ国会の現実は、予算と税制の案をそのまま認めることを不可能にしています。参院選後のこの臨時国会は、ねじれの現実を学習し、与野党の知恵で、国会としての意思決定を可能とする新たな仕組みを作る期間のはずでしたが、現在に至るも、まだその仕組みはできていません。できていないどころか、大連立構想の破綻以後、ますます混迷を深めているのが実態です。
来年度予算の政府案では、福田政権が重視する「生活の安全・安心」と「地域活性化」が目玉となりました。また税制改正では、東京都や愛知県など、景気のいい自治体が徴収する法人事業税を国が「掠め取り」、4000億円を他の地方に配分する荒業を駆使。また「埋蔵金」と喧伝された特別会計の剰余金や積立金を取り崩し、新規国債発行をかろうじて前年比で減額する措置を講じました。新聞各紙には「バラマキ」「つじつま合わせ」などの見出しが乱舞していますが、あの参院選の惨敗を受けて、財政再建路線の堅持と、疲弊する地方や医療への手当という、二兎を追う対応は、「バラマキ」「つじつま合わせ」の批判を受けざるを得ない、苦しい予算編成を我々与党に強いたと言えます。しかし国の基礎的財政収支(プライマリー・バランス)が5年ぶりに悪化したのは正直、痛い。2011年度のプライマリー・バランスの黒字化は、かなり高いハードルになったと認めざるをえません。
さてこれまでは政府が予算案を決めれば、次は国会で与党が予算案を成立させるというのがパターンでしたが、衆参ねじれ状態で、そう単純にはいかなくなりました。特に火種は道路特定財源問題です。民主党は道路特定財源の一般財源化、暫定税率の廃止を主張しています。道路特定財源は国、地方合わせて5兆4000億円。暫定税率分は、その約半分の2兆6000億円という巨額です。暫定税率をやめれば、例えばガソリンは1リットル25円下がり、現在のレギュラー155円が130円になります。消費者にとっては大歓迎の措置ですが、財政難の国や地方にとっては、道路予算に穴があく大打撃になります。特に北海道や道内自治体は、この特定財源に依存する度合いが高く、暫定税率の廃止は疲弊する道内自治体の致命傷になりかねません。民主党は地方への財源補填を考えていますが、とても2兆6000億円という額になりえない。
消費者にとっては大歓迎、しかし地方にとっては大打撃の暫定税率廃止問題が、来年度予算案審議の与野党対立のハイライトになる可能性が大きい。最悪なのは、与野党のガチンコが続いたまま、揮発油税の暫定税率の期限である3月末を迎え、税収に欠損が生ずることです。これは行政に大混乱をもたらします。自民党は大議論の末、道路特定財源問題は今後10年間、税率を堅持する方針を決めました。石油が高騰している折、様々な団体から高騰対策を求められている最中の決定でしたから、大変苦しい判断でしたが、一方で国も地方も財政は火の車です。北海道などはさらなる財政健全化策を策定中で、暫定税率による税収が入ってこなければ、財政再建の前提が崩れてしまい、さらに公共事業をカットするという負の連鎖に陥ってしまいます。
最近は、民主党の方が国民の目線で政治に取り組んでいるという声をよく聞きます。我々自民党議員にとって、耳の痛い話ですが、民主党が「国民の目線」で国会に提案した「年金事務費法案」や「農業者戸別所得補償法案」などは国会での審議の過程で、その中味のいい加減さや財源根拠の不明確さが白日の下にさらされました(このことをメディアがほとんど取り上げないのは不思議、というかアンフェア)。だからといって、自民党も反省すべき点が多いのも事実です。どうしても官僚の情報とフィルターを通して、政策を判断する習慣から抜けきらない。肝炎訴訟への対応しかり、独立行政法人改革の結末しかり、国民は敏感に自民党政治の限界を感じ取っています。道路特定財源問題はその延長線として、来年3月ころの政局で、国民にネガティブな印象を持たれる可能性が非常に大きいと危惧します。与党案のままでは済まないでしょう。しかし無策のまま、3月末を迎えるわけにはいきません。与野党で協議をし、なんとか成案を得る新しい国会をあり方を模索する、次のリトマス紙が、この道路特定財源問題となることは確実です。またそうしなければ、国会は底なし沼と化してしまうでしょう。
[ 2007年12月24日 ]
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