ねじれポピュリズム
臨時国会が再延長となり、政局の焦点は「給油新法」の取り扱いとなっていますが、同時並行的に「年金記録問題」「肝炎訴訟問題」「防衛省の不祥事」の3点セットが重くのしかかっています。「年金記録問題」で現時点での名寄せの状況が、先日発表されましたが、およそ4割が解明できていない実態が明らかとなり、これが公約違反だとの大合唱となっています。その影響で、福田内閣の支持率が急落。年金問題はたえず政権のアキレス腱と化しています。
しかしそもそも、この年金記録問題は永年の社会保険庁のずさんな仕事の結果、積み残された問題であり、この膨大な負の遺産を処理するのは誰がやっても大変な作業です。今年7月に政府与党が対処方針を作り、それに則って、現在粛々と名寄せ作業が進められていますが、NHKスペシャルで放送された社会保険庁の名寄せ作業を見ると、過去のずさんな記録管理によって累増した未統合記録の名寄せ作業は、気の遠くなるような手作業です。安倍前首相も国会答弁で「来年3月までに突合(名寄せ)を行うが、統合(名簿の一致)は難しい」と、3月までの完全解決は無理と表明していますが、「最後の一人まで、最後の一円まで頑張る」と訴えるのは、政府の姿勢として当然のことだと思います。
また過日の発表は現在の進捗状況であり、最終的には来年3月末にならなければ、全体像はわかりません。きょうから「ねんきん特別便」として、記録の空白と関連がありそうな方々への通知を、一斉に開始していますが、確かな記録作りのためには、国民の協力が欠かせません。現時点の状況をあげつらっても、事態は一向に良くなりません。官民の協力が、確かな記録作りへの第一歩です。
このことについて福田首相は「説明ぶりが国民に誤解を与えたところがあるとすれば、説明不足であり、おわびしなければならない」と陳謝しました。
さらに「肝炎訴訟」も大きな政治問題としてクローズアップされています。与野党を問わず誰もが、この問題の一日も早い解決を願っており、先日、与党として総合的な肝炎対策として、インターフェロン治療支援を決めたばかり。しかし裁判への対応は、国民の税金を使うわけですから、当然のことながら、なんでもあり、ではなく、明確は基準が必要です。各地裁の一審判決は、国が責任を負う時期の認定がバラバラで、原告が望む「全員一律救済」は、裁判で国の責任がないと判断された患者にも、賠償をすることになり、国民の税金を使うことが妥当なのか、という議論になります。しかし同じ病気で苦しむ患者からすると、時期によって線引きされるのは耐えがたいという気持ちも当然わかります。
私は先日、舛添厚生労働大臣と会った際、「患者同士の均衡を図るのであれば、賠償金を一括プールして基金化し、その分配は原告団なり患者団体で工夫してもらえばいいのではないか」と提言しました。大臣からの回答はありませんでしたが、なんとか年内に解決することを希望しています。
それにしても最近のメディアは、例えば年金記録問題では「公約違反だ」の大合唱。肝炎訴訟では「一律救済」の大合唱。もう少し冷静な議論ができないものかと思います。理と情。政治は理だけでもだめだし、情に流されてもいけない。理だけ主張して失敗した場合もあるし、情に走って国の方向を誤った過去もあります。虞美人草の世界ではありませんが、衆参ねじれの中で、与野党が互いにポピュリズム合戦に走ることの危険性を感じます。
[ 2007年12月17日 ]
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