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伊吹幹事長一流の「いけず」

 福田政権の国会論戦が始まりました。新首相の本会議答弁は原稿読みが中心ですから、無難な印象を受けるのは当然としても、野党席からの「やじ」が少ないのには驚きました。小泉首相や安倍首相の時は、正に「やじ」の嵐状態。福田首相はやじることを控えたくなるような、一種独特のキャラクターなのでしょうか。それともまずは模様眺めで、これからどんどん、「やじ」が増えていくのか。ところで、与党の質問ではありますが、自民党の伊吹文明幹事長の代表質問が、私には大変面白かった。与党なのでメディアは余り報道しませんでしたが、伊吹氏らしい表現が満載で、しかも重要な指摘が多かった。


 伊吹幹事長は私にとっては大学の先輩でもあり、仕事面でも伊吹氏が党の道州制調査会長、私が事務局長として2年間、お仕えしました。とにかく仕事に厳格で、筋を間違えると、こっぴどく叱られる。北海道を舞台にした道州制特区法の立法過程でも、一貫して厳しい姿勢で、北海道の甘えを許さなかった。しかし一方では、法案がまとまるような根回しもしっかり進める政治手腕や、先を見通す目を併せ持っていました。北海道の高橋知事と一緒に、伊吹氏に説明した折、女性知事を面罵する場面にも出くわしました。党内きっての論客であり、福田首相もそうした能力を買って、野党との論戦の矢面に立つ幹事長に起用したと思います。
 さて先日の伊吹幹事長の代表質問ですが、首相への質問というよりは、民主党に対する与党幹事長としての強烈なメッセージとなりました。まず参議院第一党となった民主党の責任について。
 『国民と国家を第一に考えるのが立法府の使命であります。であれば、衆議院、参議院の別なく、また与党、野党の別なく、二つの院の第一党は、党利党略ではなく、国民の幸せのため、提案し、議論し合い、合意を見出して、政治を前に進めることが各政党の責務ではないでしょうか』
 この点は私もこの「がく論」で、何度も指摘してきたものですが、続いて伊吹質問はいかにも伊吹氏らしい「いけず」な表現となります。
 『残念ながらわが党は、先の参院選で民意を得られず、敗北した事実を謙虚に受け止めるものであります。その上で申し上げれば、民主党は「政府の法案に反対し、直近の民意は政権交代である」として早期解散を求めておられますが、将来の衆議院選挙で与党が過半数を得た場合、民主党の皆さんは「7月の参議院選挙は古い民意だった」として、それまでの主張を放棄されるでありましょうか』『本院の皆さま一人ひとりの議員は民意の代表者であり、参議院もまたしかり、です。とすると、自民党も、民主党も、互いに衆参の第一党として責任を分担し、国民不在の自己の主張に陥ることなく、協力して国民の付託に応えねばならない』
 さらに伊吹氏は、小沢民主党代表のかつての著書「日本改造計画」を引用。この本で小沢氏が湾岸戦争に対する日本の貢献がお金だけで終わったことを批判した事実を指摘し、今国会で焦点となっているテロ特措法との関連について。
 『小沢代表はいまも変わらず党より国を考えておられる、信念の政治家と確信しています』『民主党は反対だけでなく、ぜひ現実的な対案を国民に示され、与野党協議のうえ、早急に結論を得ようではありませんか』
 また「日本改造計画」がアメリカ流の自己責任原則の記述から書き出していることに触れ、
 『今回の参議院選挙で示された民意は、「日本改造計画」にも描かれ、わが自民党も行ってきた改革の痛みや後遺症への国民の拒否反応でもあったかと思います』『小沢民主党代表は、参議院選挙の公約において、「日本改造計画」のお考えから見事な変身を遂げられ、民主党は参議院の第一党になられたのであります。基礎年金の全額税方式、子ども手当の創設、高速道路の無料化、最低賃金の引き上げのための中小企業への助成、農家への個別所得補償など、すべて国民にとって嬉しい、また歓迎される公的介入・助成策です。問題はこの「約束手形」を現金化する財源措置の実現可能性にあります』
 壇上の伊吹氏は二度にわたって「残念ながら、小沢代表はこの議場にはおりませんが」と指摘したように、小沢代表は伊吹氏の質問の時だけ議場の退出し、露骨な不快感を示しました。そして民主党は与党からの協議の誘いかけにも一切、応じようとしていません。このまま国や国民を無視した政党間バトルが続くのでしょうか。伊吹氏は国民にも問いかけています。
 『有権者の皆さまには、現実問題の具体的処理という、政権担当能力を見極めていただく、よい機会ではないでしょうか』

[ 更新:2007-10-06 ]

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