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GAKU論

民主党の「メタボ」路線

 福田政権が船出をしました。参議院過半数割れを前提として、厳しいスタートですが、現在の憲法の下では、衆議院と参議院での民意がねじれることは当然ありうることで、大事なのは、衆参ねじれを前提として、具体的に政治の結論を出すシステムを作ることだと思います。そのためには、参議院第一党となった民主党が、どの程度、現実主義をとるかにかかっています。

 しかし現実は逆で、民主党の小沢代表は与党に対して徹底的な対決路線をとる見込みです。その一環として、民主党は「法案の嵐・作戦」とメディアが命名する、独自法案の大量提出方針を打ち出しています。現在のところ、民主党は10本以上の法案を提出する予定です。その半分が私の関係する厚生労働関係の法案です。その一部をチェックしてみましょう。
 まず「年金制度改革関連法案」。その詳細はまだ不明ですが、消費税を財源として、基礎年金に相当する最低保障年金を税方式で保障する制度の提案です。財源は様々な予算の効率化によって、消費税率をアップすることなく、現在の消費税を当てて、年金は心配なし、との宣言です。私は、端的に言って、消費税をいじらないで、基礎年金は大丈夫です、という民主党の公約は、噴飯ものと思います。現在の基礎年金の予算は19兆円。消費税の収入は13兆円。その差、6兆円をどうするのか、すぐに疑問が出てきます。民主党は、いや、予算の無駄遣いを排除するといいますが、予算のどの部分をカットするのか、大まかな提案しかなく、信用できません。
 次に「年金保険料流用禁止法案」。これも、もっともらしい提案です。年金の事務費を、どこから出すか、これは考え方の問題です。年金の保険料は、すべて給付に回し、事務費には一切使わないとするのも、ひとつの考え方です。その時は、現在、事務費に使われている約2000億円は、税金から支出しなければなりません。我々の考えは、「給付と負担」の原則からすると、他の労働保険や民間の保険と同様に、ある程度、保険料から事務費を捻出するのは当然との立場です。基礎年金には現在、国費が3分の1、2年後には2分の1が充当される予定で、事務費は税で、という原則を復活させると、その国庫負担率はさらに上がります。事務費の中味については、詳細な点検が必要で、当然、無駄遣いは許されませんが、保険料からは支出しない、しかし全国民からの税で負担するのが相当との判断が妥当なのかどうか、国民的な議論が必要と思います。繰り返しになりますが、これは考え方の問題。事務費は受益者が負担するのか、全国民が負担するのかの選択です。税で負担となると、他の部門にしわ寄せがいきます。
 この他にも民主党からは「障害者自立支援法改正案」やら「農業者戸別所得補償法案」やらが目白押しです。いずれも、国民の負担を軽減する、あるいは現金をバラまく「バラ色」の法案です。年金保険料はすべて給付に使います。保険料なし、消費税増税なしで、最低保障年金を面倒みます。すべての農家に所得保障します。障害者の負担を軽くします。中学生までの子供に毎月2万6千円、出しましょう、などなど。いずれも、おめでたい、国民にとって歓迎すべき政策ですが、これだけ「ばらまき」をして、国の財政は大丈夫なのかな、と誰もが思うでしょう。おいしいところだけ、つまみ食いして、全体のことは知らんぷり。おいしいものだけ偏食する美食家は、間違いなく、生活習慣病、メタボリック・シンドロームに陥るでしょう。
 国会での論戦が始まりますが、我々、政権政党の務めは、財政全体のバランスを考えながら、個々の政策や国民負担のあり方を考える重要性を、国民の皆様に、いかに理解してもらうかに尽きるでしょう。もちろん、政府はこれまで、ミクロの視点で、お年寄りの年金収入と、医療費や介護保険料の増加との対比を、詳細に点検する姿勢に、欠けていたことは否定できません。縦割り行政の弊害で、年金、医療、介護の各部門は、バラバラに制度改革を推進してきました。さらに財政再建の方針が、すべてに優先され、厚生労働省は、財務省の強烈なプレッシャーの下で、社会保障の理念よりも、財政の理論で、制度改革を進めてきたことは否定できません。
 もう、こうした方向性は限界にきました。過去の構造改革路線による、セイフティーネットの引き下げ路線でもなく、民主党の言うような「ばらまき」「財源いい加減」路線でもない、しっかりとした財源を担保し、セイフティーネットとはなんぞや、との国家としての考えを明確化して、社会保障政策を進めていく時期に入ったと認識します。福田政権がそこまで真摯に社会保障に取り組めば、国民はその姿勢を支持してくれると確信しています。そのための議論を党内で加速し、国民に提示していきたいと思います。

[ 2007年10月01日 ]


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