自民党 HOME 公約 GAKU論 プロフィール ご意見箱 リンク 永田町日記 後援会
GAKU論

権力闘争としての選挙

 参院選の惨敗、安倍首相の続投宣言を受けて、党内外で安倍批判が鳴り止みません。もちろん、あれだけの大敗からの続投ですから、すんなりといくわけがない。しかし党内の批判は言葉だけで、いまひとつ政権をひっくり返そうという迫力が感じられません。一方党外、特にメディアの批判は安倍政権が続く限り、やみそうにありません。さらなる逆風の中で、27日には内閣改造が予定されています。
 参院選惨敗から二週間が経ちましたが、私の気持ちとして、その敗因がいまひとつ、すとんと整理されていません。あそこまでの惨敗になる要因は何だったのか。そんなに安倍政権は悪かったのか。もちろん、年金記録の問題、大臣の度重なる失言、政治と金をめぐる中途半端な対応、そしてバンソウコウ事件など。「併せ業一本」で大敗とはなるのでしょうが、別の側面として、「権力闘争としての選挙」を考えてみたい。
 まず年金の問題。これは社会保険庁の解体の議論と切り離せません。昨年、廃案となった社保庁改革法案では、新たな年金組織は公務員型としていました。しかし年金保険料の免除問題など、さらなる不祥事の発覚で、旧法案を捨て、政治レベルでの議論の結果、新たな社保庁改革法案は、組織を6分割し、本体の職員を非公務員とすることにしました。公務員は公務員でなくなることを恐れます。まして社保庁で累次の不祥事に関わったような「不良」職員は、間違いなく新組織に採用されなくなるのは明らかです。そこで自爆テロ的に、この非公務員化をめざす社保庁改革法案を葬り去ろうと画策したグループが、社保庁内部に発生するのは自然な成り行きです。今回、年金記録の杜撰さが明らかになったように、社保庁は叩けば埃が出る組織です。内部の人間は内部の問題を一番わかっている。そこでメガトン級の5000万件の年金記録問題を、政治にリークし、国会で問題化する。ちょうど参院選があるから、選挙の争点になり、与党は負ける。非公務員化をねらう安倍政権が倒れ、非公務員化をめざした社保庁改革法案は頓挫する、というシナリオが十分、考えられます。政権へのダメージという意味では、事態はほぼシナリオ通りに進んできたと言えるでしょう。計算通りにいかなかったのは、社保庁改革法案が先の通常国会で成立済みであり、しかも安倍首相が続投宣言をしてしまったことでしょうか。
 第二に、「権力闘争としての選挙」を政治とメディアの関係で見てみたい。今回の参院選前には、たとえばテレビ番組で与党と野党の議員が出演し、年金記録の問題を議論する場合、スタジオにいるコメンテーターはすべて政府や与党に批判的で、結局、(与党議員)VS(野党議員+コメンテーター+番組のキャスター)という、おそるべき1対3の構図が現出し、テレビをみている視聴者からすると、完全に与党つまり安倍政権が悪者というイメージが刷り込まれる場面が何度もありました(こうした番組の傾向は、参院選後も続いている)。また憲法改正、集団的自衛権の見直しなど「右より」の政策を掲げる安倍首相に批判的な一部の全国紙は、選挙中の公正、公平な報道という大原則をかなぐり捨てて、かなり意図的な政権批判の論調を選挙中も続けました。結果はバイアスのかなりかかった世論形成に一部メディアは成功しています。
 このように今回の参院選は、「安倍政権を潰したい」と目論む様々な勢力の工作が、ある意味、見事にスパークした、未曾有の選挙だったと言えます。社保庁を解体し、公務員の天下りを抑制しようとすることは、これだけの抵抗を受けるということです。憲法改正すらさせまいとするメディアが、まだシーラカンスのように、現代日本に存在するということです。安倍首相が唱える「戦後レジームからの脱却」を図ることは、「戦後レジームの呪縛」にまだまだ囚われている日本(一部メディアがもっとも、囚われている)では、本当に難しいことだと、この惨敗から痛感しました。「敵」は至るところにいます。すでに触れたように、今回の敗因は「身から出た錆」であることももちろんです。その上で、我々は「権力闘争としての選挙」の恐ろしさを考えなければならないと思います。27日の内閣改造で、安倍首相が第二次政権のめざす目標をどこに置くか。そのポイント次第で、また新たな権力闘争が始まるかもしれません。

[ 2007年08月12日 ]


記事のインデックスに戻る