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GAKU論

大事なことが、たくさんある

 安倍内閣の支持率が、なかなか下げ止まりません。安倍首相自身が機会ある毎に説明し、累次の対策、検証委員会と第三者委員会の立ち上げ、さらに賞与のカットにも言及していますが、国民の怒りは収まりません。参院選の投票行動にも、影響を及ぼしそうです。

 今回の年金記録問題は、社会保険庁に染み付いた体質に起因するものです。年金記録をオンライン化することに、かつて組合は大反対闘争を展開しました。社保庁当局はやむなく、オンライン化を実現する見返りに、組合に対して、勤務をできるだけ軽減する覚書を結びました。
 「われわれ(職員)は、たばこを吸いながらの入力。疲れたらコーヒー飲んで一服。パソコンひとつも一人で満足に扱えず、雑談したりいろいろ。昼休みも、電話がかかってきたり来訪者がきても休憩している」(社保庁組合幹部のメモ=産経新聞より)

 さらに、いわゆる三層構造といわれる、独特の人事構成。最上層部は厚生労働省のキャリア組(2年程度で本省に戻る)が30人。次に社保庁本庁採用の幹部。そしてその他、地方採用の大多数の職員。地方組は昇進のチャンスもなく、逆にキャリア組は地方の実態をほとんど知らない。さらに現場の職員は平成11年まで「地方事務官」という特殊な身分にあり、国家公務員でありながら、指揮系統は都道府県の下にあるという変則的な立場でした。このことも、組織としての統制を著しく欠く要因だったと思います。
 また厚生(労働)省本省の監督や、国会のチェックも不十分だったと認識しなければなりません。こうして社保庁は独立王国の伏魔殿のごとく存在し、その病巣が顕在化することはありませんでした。
 連日の報道で、年金記録をめぐる様々な数字が飛び交い、国民の不安と不信をかっています。私は記者の皆さんに、日替わりの数字を追うことも大事だけど、なぜこのような事態に至ったのか、社保庁の歴史、体質も追及してほしいと、言ってきました。最近ようやく、そのような視点の記事が散見されるようになりました。もちろん、与党政治家の責任逃れのために、そう言ったわけではありません。目先の現象だけでなく、その根っこを国民に知ってもらうことが大事だと感じたからです。その上で、社保庁の組織改革の必要性も理解してほしいと願っています。
 現在の政局は完全に年金記録問題への対応を中心に回っており、7月の参院選の焦点も、年金問題となるのでしょう。しかし世界を見渡せば、様々な重要な問題をめぐって各国がしのぎを削っており、社保庁のような、行政の一外局の、あきれる不始末に一国の政治全体が振り回されている国、その一点が国政選挙のテーマになろうとしている国は、日本以外にないでしょう。安倍政権はもともと、憲法や教育改革、拉致や安全保障の問題など、過去の政権が真正面から取り組んでこなかった骨太の国家課題をテーマとしてスタートした政権です。そしてこの9か月間に、教育基本法の改正や憲法の国民投票法の成立など、様々な実績を上げています。もちろん、年金問題は国民生活に深く関わる重要なテーマです。この機会に年金の記録を、より正確なものとし、国民の不安や不利益を解消する対応をとることが政治の責務です。しかしそれが日本の政治のすべてとなることは、世界情勢に鑑みて情けない。日本の政治が世界の中で、ブラックホールになってはならないと思います。

[ 2007年06月26日 ]


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