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GAKU論

地方選のドラマ

 地方選第2ラウンドが終わりました。いつもながら選挙はふたを開けてみないと、わからないですね。函館市は新人が現職を大差で破りました。夕張市も再選挙になるかと心配していましたが、会社再建の経験者が当選しました。青森のお金持ちも話題を振りまきましたが、結果は妥当なものになっています。長崎市も市長が凶弾に倒れる非常事態になったのに、市民が選んだのは亡くなった市長の後継候補である娘婿ではなく、急遽立候補した市の課長さん。わずか2〜3日間の選挙で、長崎市民は異常事態の中、極めて冷静な判断を下しました。市長の娘さんが「伊藤一長はこの程度の存在でしたか。これでは浮かばれません」と号泣していた光景が、テレビで放映されましたが、市民のコメントは「それとこれとは別の話」という覚めた反応。一方では伊藤一長と書いた投票は、後継候補の得票になると思い込んでいた市民も多数いたようです。選挙中に有力候補が死亡した場合の、法的な扱いは今後、議論になるでしょう。
 それにしても当選した課長さん。あの段階で、よくぞ出馬を決断しましたね。木曜の夕方に届出して、日曜の選挙ですから、実質2日間で、名前を浸透させなければなりません。しかも、あの状況で堂々と世襲批判、よそ者批判をした。その姿勢はすごいし、そこが市民の琴線に触れたのかも知れません。前市長の後継候補が実の息子で、長崎で育った人なら、結果は違ったかも知れません。また期日前投票をやり直したら、結果がどうだったか。選挙はドラマです。
 今回の選挙では、もうひとつ高知県東洋町の出直し町長選が注目されました。高レベル放射性廃棄物最終処分場の調査候補地に名乗りをあげた町長が辞職し、町民に信を問うた選挙でしたが、結果は反対派の新人が圧勝し、最終処分場の建設地選定問題は振り出しに戻ることになりました。推進派の前町長は、地方財政が厳しい中、年間10億円の交付金をまちづくりに活用すると訴えましたが、住民は金を選択するよりも、核を拒否しました。
 思い出すのは昭和62年の北海道知事選挙。当時の横路知事も、幌延町への高レベル廃棄物施設誘致反対を訴えて、200万票を超える得票で圧勝しました。今回も高知県の橋本知事は、札束で地方の頬をひっぱたくような国のやり方は許せない、と主張し、調査候補地になることに強く反対しました。
 この高レベル放射性廃棄物の最終処分場をどうするかという問題は、現時点で全く解決のめどが立っていません。昭和62年の知事選、そして今回の東洋町の例のように、住民には激しい拒否反応があり、今回の選挙の影響でますます、自治体が手を挙げづらくなるのは必定です。しかし一方で、国内には50基を超える原子力発電所が稼動し、国策として使用済み燃料の再利用、すなわち核燃料サイクル政策を進めています。そこからプルトニュウムが抽出され、同時に放射能の強い「核のゴミ」である高レベル放射性廃棄物が生み出されます。この廃棄物は最終的には地層処分しなければならず、その場所を決めることが長年の課題となってきました。
 最終処分が始まるのは2050年頃ですが、事前の調査に時間がかかるため、ゆっくりした話ではありません。現状のまま推移すると、原発サイト内に一時貯蔵されている使用済み燃料や、青森県六ヶ所村にある高レベル廃棄物の一時貯蔵所が、半永久的な保管場所になってしまう可能性もあります。あるいはどこも引き受ける自治体がない場合、原発を抱える道府県の自己責任で保管しなければならないかも知れません。北海道に核のゴミはいらない、と主張しても、北海道には原発があり、道内の電力の3割を既にまかなっており、そこから発生するゴミは知りません、というわけにはいきません。原発を抱え、その発電の恩恵を受けているということは、廃棄物についても共同責任で考えることが前提であるべきです。選挙は民意の発露ですが、核のゴミについて、全国民が他人事ととらえるようだと、この問題の解決はありません。今回の東洋町の選挙結果に、一抹の不安を覚えました。

[ 2007年04月24日 ]


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