自民党 HOME 公約 GAKU論 プロフィール ご意見箱 リンク 永田町日記 後援会
GAKU論

肩すかしの「密約」判決

 西山事件とよばれる外務省機密漏洩事件で有罪が確定した元毎日新聞記者の西山太吉さんが、国に損害賠償と謝罪を求めていた裁判の判決がありました(3月27日、東京地裁)。判決は「不法行為から20年過ぎれば自動的に損害賠償請求権は消滅する」という民法の除斥期間を適用し、いわば形式論、入り口論で西山氏の請求を斥けました。

 西山事件は日米の沖縄返還交渉の中で、本来は米側が負担すべき費用の一部を、極秘に日本が負担する密約が存在したと、西山記者がすっぱ抜いたもので、国会でも横路孝弘代議士(現副議長)が政府を追及しました。結局、西山氏と公電を手渡した外務省の女性事務官が起訴され、国家公務員法違反で有罪が確定しています。しかし2000年になって、アメリカの公文書で密約の存在が裏付けられ、昨年、当時の外務省の局長も密約があったことを認める発言をしました。
 西山さんにとっては、密約の存在が事実なら、それは国家犯罪だ。そのことを暴露したことが、なぜ罪に問われるのか、との思いが強かったと思います。しかしその西山さんの願いは、裁判の形式論の壁に阻まれました。
 無責任な言い方ながら、この裁判は入り口で止まることなく、本格的な審理に入れば、面白いものになっただろうと思います。まず密約の存在をめぐって、真実と国家の論理が激突したでしょう。密約の存在を否定し続けてきた国家。ところが米公文書で、その存在が出てきた。元外務省局長も証言した。西山さんは「公電の内容は違憲・違法な秘密に当たり、国家公務員法上での秘密に該当しない」と訴えました。だから違法な秘密を入手し暴露することは、正当な取材行為である、国益に叶うとの主張です。
 「密約の存否ばかりではなく、@密約を示す公電コピーの入手などは『知る権利』に基づく正当な取材活動の範囲内かどうかA密約の暴露を試みた取材記者の逮捕、起訴は国家権力の言論の自由への介入かどうか、など憲法で保障された『知る権利』や報道の自由にかかわる判断は避けて素通りした」(北海道新聞)
 西山さん自身も判決後の会見で「こちらが目指したものは、全部肩すかし。大きく落胆している」「想像していたものの中で、一番グレードが低いものが出てきた。司法の自殺行為のような判決だ」「裁判を通じて密約問題が知られた。無駄ではなかった。闘い続ける」と語り、控訴する意向を明らかにしました。
 おそらく上級審でも、今回の判決の流れは変わらないと思います。行政と司法が期せずして、国家の論理、国家防衛で一致したのが、西山事件です。西山さんの権利回復は法律的に難しいかもしれない。しかし我々が求めるのは「歴史の真実」です。それは裁判のみならず、メディアを含めた幅広い分野で、今後とも西山事件が検証されることで、より明確になる可能性は、まだまだ残っていると思います。(昨年2月23日付けのがく論「運命の人」もご参照下さい)

[ 2007年03月28日 ]


記事のインデックスに戻る