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GAKU論

JAPAN包囲網

 安倍政権になかなか勢いがつきません。柳澤厚生労働大臣の失言に続き、今度は松岡農林水産大臣の光熱水費問題。柳澤氏は最初から平謝りでしたが、松岡氏の場合、「なんとか還元水」「水道水を飲んでる人はいない」などの居直りペースで、謝るタイミングを失してしまいました。私の地元でも、えらく評判が悪い。国民は政治家の「うそ」に敏感です。このまま地方選、参院選に突入していくのは危険。
  さて最近の安倍政権を取り巻く危険因子に「従軍慰安婦問題」と「北朝鮮」があります。アメリカ下院で慰安婦問題に関する日本糾弾の決議案が議論されていますが、安倍首相はじめ日本政府が事実面で反論すること自体が、強い反発を招いています。自民党の若手が事実誤認の基になっている、かつての河野官房長官談話を再検討しようと動き出したら、政権中枢からブレーキがかかりました。元々は安倍首相の年来の持論であった河野談話の見直しも、外交的に影響が大きすぎるとの判断が働いたようです。なにより日本の最大の同盟国であるアメリカから、歴史問題で匕首を突きつけられたことが、対応を複雑にしています。
 この慰安婦問題と奇妙にタイミングが符合する形で、北朝鮮をめぐる動きが波紋を広げています。6カ国協議の決定を受けて、米朝と日朝の協議が行われましたが、米朝協議が友好ムードで結果を伴ったのに対して、日朝協議は入り口の拉致問題ですぐに暗礁にのりあげ、全く成果のないまま終わりました。自民党内からも、例えば山崎拓氏のように、大事なのは朝鮮半島の非核化であり、拉致問題のような二国間の懸案にこだわるべきではない、バスに乗り遅れるな、との声が出る始末です。6カ国協議では、国内メディアからも「日本の孤立化」という論調がたえず出され、政治の世界、メディアの世界で日本の論調が分裂する最悪の事態になっています。
 私が不思議に思うのは、こうした動きが同時並行で進むことです。6カ国協議での孤立化、歴史問題でのバッシング、国内の分裂が同時に起きる不思議。日本をたたくために、誰かがシナリオを書き、裏でフィクサーがうごめいている観があります。アメリカではすこし前から、南京虐殺をめぐる映画制作、出版、報道、さらにはモニュメント作りまで、中国系のしかけと思われる宣伝戦が展開されてきました。
 例えば全米で10万部を超えるベストセラーになったと言われるアイリス・チャン著の「ザ・レイプ・オブ・南京」の宣伝や販売に全面的に協力したのが、中国系反日団体である「第二次大戦アジア史保存連盟」(ALPHA)であり、その後、「ザ・レイプ・オブ・南京」には事実の間違いや歪曲が多数あることが、アメリカ側の学者やジャーナリストから指摘されたと言われています。(月刊文芸春秋4月号「『ザ・レイプ・オブ・南京』映画の罠」)
 また米議会で慰安婦問題追及の中心人物であるマイク・ホンダ下院議員に対して、昨年、中国系から11万ドルの献金が行われ、その中には、世界規模の中国系反日団体の会長など日本を糾弾している中国系活動家が多数含まれていたことが報道されました(15日の産経新聞)。
 正確な歴史的事実の検証よりも、日本はとんでもない悪い国で、しかもそのことを現在でも認めようとしない、というレッテル張りが広範囲に進んでいるように思われます。それによって利益を得る国がどこかも、はっきりしてきました。昨年までは米国内で、日本文化はクール(かっこいい)と賞賛されていたことと大違いです。見えざる謀略戦に対して、日本は首相補佐官をちょっと訪米させるだけでは、最早、対抗できないと思います。したたかな対外戦略の再構築が望まれます。

[ 2007年03月15日 ]


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