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GAKU論

不健全な「言葉狩り」

 柳澤厚生労働大臣の発言が世間を騒がせています。1月27日には女性を子供を「産む機械」と呼んで、猛反発を受けました。2月6日には「若い人たちというのは、結婚したい、子どもを二人以上持ちたいという極めて健全な状況にいる」と発言。またまた一部メディアの反発を受けています。


 もう一度、発言の詳細を追ってみます。まず1月27日発言の抜粋から。
「なかなか、今の女性は、一生の間にたくさん子どもを産んでくれない。人口統計学では、女性は15〜50歳が出産をしてくださる年齢。15〜50歳の女性の数を勘定すると、もう大体わかる。あとは『産む機械』っていっちゃなんだけど、装置の数が決まっちゃったってことになると、機械っていっちゃ申し訳ないんだけど、機械って言ってごめんなさいね。あとは産む役目の人が、一人頭でがんばってもらうしかない」(注・途中、抜粋しています)
「今の若い人たちに世論調査すると、8割くらいが『結婚したい』という。『本当は、どのくらい子どもがほしいの?』というと『2.2人くらいは子どもがほしい』と言ってくれる。今の若い人は健全だと思う。要はそういう若い人の希望がかなえられない日本社会が問題」
 1月27日の段階で、既に「健全」発言が出ていますが、この時はあまり問題化せず、「機械」発言が集中砲火を浴びます。「機械」発言は上記のように、極めて不適切で、そのものは弁解のしようがありませんが、要約すると、人口統計上、出産年齢人口がだいたい決まっているので、少子化を食い止めるには、一人ひとりの出産数を増やすしか方法がない、との趣旨で、いわばデータの話を噛み砕いて解説したわけです。それくらい長い視点でみると、少子化対策というのは難しく、即効薬はないということです。


 続いて2月6日の記者会見での発言。
「家庭を営み子どもを育てることに人生の喜びがあるという自己実現という範囲でとらえることが必要だ。若い人たちは、結婚したい、子どもを二人以上持ちたいという極めて健全な状況にいる。だから本当にそういう日本の若者の健全な希望というものに、われわれがフィットした政策を出していくということが非常に大事だというふうに思っている」(注・抜粋)
 この「健全」発言に一部メディアが噛み付きました。全国紙はほとんど冷静な対応ですが、北海道新聞やテレビは、鬼の首でも取ったような剣幕で「柳澤厚労相また問題発言」「識者や女性団体 批判再燃」「人生決めつけないで」「さらに野党へ追い風」「少子化対策に問われる適性」(北海道新聞)など、政権を叩く絶好の機会という論調。さらに道新記者の署名記事では「国が健全か不健全かという評価を下す響きがある」「国の都合で女性の出産を一方的に奨励しているようにとられかねない」「戦前の産めよ殖やせよのような発想の貧困さ」「結婚しない、子どもを持たないことを選択する生き方に対し、不健全と批判したとも聞こえる」などなど。「響きがある」「ようにとられかねない」「とも聞こえる」と牽強付会のオンパレードです。誰も「産めよ殖やせよ」などと言っていないのに。


 まず確認しなければならないのは、少子化対策は国策であるということです。なぜなら日本の国力や経済、社会保障制度などを維持するために、このまま子どもが減り、人口が減っていく日本では危ないと考えるからです。そこでこれまでにも様々な対策が実施されており、その成果はいまだ不十分と言わざるを得ません。もちろん、子どもを産む、産まないは個人の問題であり、産めない人もいる現実はありますが、日本社会全体として、若い人が結婚し、子どもを産み育てることを奨励するのは、当然のことと思います。調査結果でも多くの若い人たち自身が、結婚したい、子どもを二人くらいほしいとの考えを持っていることを、「健全」と表現して、どこがおかしいのでしょうか。それは子どもがいないことを「不健全」と断定したわけでもないし、国が健全と不健全の線引きをしたわけでもない。安倍首相も「(柳澤大臣は)特定の価値観について述べたのではない。柳澤氏が何をやろうとしているかという真意をくみ取るべきだ」と述べていますが、まさにその通りで、言葉尻をとらえて、レッテルを貼るのではなく、もう少し中味の議論を冷静にすべきではないでしょうか。こうした風潮には、不気味な危うさを感じます。必死に「言葉狩り」に走る一部メディアですが、そんなことに血道を上げていたら、次は自分たちがしっぺ返しをくらうでしょう。

[ 2007年02月07日 ]


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