8.15の対話
朝からテレビは小泉首相の靖国参拝で大騒ぎ。駒大苫小牧はなぜかエース田中が先発しなかったものの、驚異の逆転勝ち。そして私は妻と墓参りへ。残暑の昼下がり、先輩K氏と久しぶりの対面。8.15対話の話題は尽きない。
K「やはり、きょう(8月15日)小泉は靖国に行ったな」
G「私は4月のがく論で既に小泉の8.15参拝を予告しましたよ」
K「みんな、予告しているよ。偉そうに言うもんじゃない。しかしこれは小泉の意地だな。2001年総裁選公約を任期中になんとか、果たしたいという意地、以外の何者でもない」
G「最近の小泉発言も意地っ張りになってる。靖国に行っても行かなくても批判する。いつ行っても批判すると、メディアに食って掛かっている。きょうもA級戦犯については、人を区別して参拝しているわけじゃないと居直っているね」
K「A級戦犯はGHQの恣意的選別で東京裁判の概念。東京裁判は事後法による戦勝国の処理だから、パール判事の指摘通り、無効。しかし日本はサンフランシスコ講和条約で、東京裁判の結果を受け入れざるをえなかった。それ以外の選択肢は当時、ありえない。その後、全戦犯への赦免決議が国会でなされ、国内的には戦犯はいないことになった」
G「問題は静謐な鎮魂の場であるべき靖国が、過度に政治性を帯びたことではないか。戦場での死者たる戦没者を祀る靖国に、東京裁判の処刑者を祀ることは、東京裁判の否定をもくろむ政治性のさせる業ではないの」
K「昭和天皇が不快感を示したように、当時の宮司の判断は余りにも政治的だった」
G「しかし靖国としては、もう後戻りできないよね。いまさら昔の宮司の判断を否定できないし、分祀という概念はないと明言し続けている」
K「靖国は国の唯一の戦没者慰霊施設という位置づけだから、国論を二分するような存在ではよくない。まず靖国神社自身がそのことをわきまえないと」」
G「天皇が参拝できない戦没者追悼施設でいいのかどうか、靖国自身がどう考えるのか」
K「いろんな問題が複雑に絡んでいるね。A級戦犯とはなんぞや。確かに戦争責任者でもある。しかし刑を執行された後も、未来永劫、犯罪者なのか。その後、外務大臣や法務大臣になった人もいる。赦免決議もあった。そもそもA級という概念の事後法による規定。GHQの戦犯選別の恣意性、拙速さ」
G「本当に複雑だ。戦前の国家神道を引きずった神道形式。信教の自由を認めない、合祀に際して家族の許諾を求めないこと。戦場における死者以外の戦没者、空襲や原爆の被害者をどうするのかもはっきりしない」
K「元々が戦没者の名誉を称え、その家族を慰撫する国家装置としての靖国だったから」
G「おいおい、新書版の『靖国問題』的論理になってきたよ」
K「お前と靖国について何度か議論してきたけど、全然結論が見えないなあ」
G「ますます混迷してきたみたい。でも小泉さんのおかげで、最近、靖国の議論がヒートアップしているね」
K「それぞれが、それぞれの立場で主張しているけど、ほとんど接点はないね」
G「宗教法人だから、政治からの介入はご法度だからね。靖国自身がどう考えるか。天皇も参拝できない、首相が参拝したら、叩かれることをどう考えるか」
K「靖国自身は変えられないよ。もうノーチャンスじゃないか」
G「安倍官房長官が参拝を明かさないという姿勢も、外交的配慮でひとつの知恵と思う」
K「確かに。でも情けないね。こっそりとしか戦没者を慰霊できないなんて。でも現時点で、それしか方法はないようだ。安倍が首相になったら、何かアイデアを出してくると思う。それを期待しよう」
きょうも暑い一日だった。その後、道立近代美術館で鑑真和上の像を拝見。5度の渡航失敗を経て、足掛け10年で日本に来た鑑真さん。1200年前には、そんな日中の架け橋もいたのだと、柔和な鑑真像を見ながら、実感しました。
[ 2006年08月15日 ]
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