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GAKU論

フランス「原子力」物語

 フランスの原子力事情を勉強するため、一週間パリをはじめ各地の原子力施設、企業、政府関係者を回ってきました。核兵器ではなく、平和利用の面で世界の原子力大国はアメリカ、フランス、日本の三か国です。特にフランスと日本はエネルギー資源に乏しい共通点があり、核燃料の再処理も日本がフランスに頼ってきたという経緯があります。フランスの関係者からは異口同音に「原子力ルネサンス」という言葉が出ました。石油やウランの高騰、中国やインドの経済的台頭、地球環境問題など原子力を取り巻く環境が近年、大きく変わり、かつて原子力に強硬に反対していた環境団体ですら、原子力の有効性を認めだしました。そうした状況の変化が、日陰者だった原子力を日向に引っ張り出した、それをルネサンスと呼んでいます。
 フランスを回ってみて、日本がやろうとしている原子力政策を、はるか以前から、はるかに大規模に取り組んできていることに驚かされました。これが国策、国益を考えた国の政策判断だったのでしょう。なにしろフランスの電力の8割が原子力発電です。そして核燃料サイクル政策にも早くから取組み、再処理工場、MOX燃料の開発、高速増殖炉の開発、高レベル廃棄物の処理研究など、世界のフロントランナーとして、ぶれることなく政策を進めてきた原子力政策の一貫性には頭が下がります。今、日本はフランスが多年にわたって取り組んできたサイクル政策を具体化する、その入り口に立っているところです。六ヶ所村再処理工場(来年操業開始)、六ヶ所村MOX燃料加工工場(平成24年操業開始予定)、プルサーマルは九州電力などで今後取組み、高速増殖炉「もんじゅ」は再来年、試運転再開など、近い将来、続々とサイクル政策が形になっていく予定です。 その関連で今回、ラアーグ再処理工場、メロックスMOX燃料工場、高速増殖炉フェニックス、核融合実験施設トーレスプラを視察し、さらに世界最大の原子力メーカー、アレバ社、フランス電力会社EDF、メジャー第5位のトタール社、フランス原子力庁などを訪問しました。驚いたのはフランスの会社の企業規模。日本ですと電力会社は地域ごとに9社ありますが、フランスはEDF社の独占状態で、周辺国にも電気を売っています。またアレバ社も原子力に関わる、ありとあらゆることに関与し、世界最大規模の原子力企業に成長しました。これは国の政策と、それを担う企業が完全にタイアップして、ともに進んできた結果でしょう。また日本でも今後、最大の課題になるであろう高レベル廃棄物処理問題も、フランスではビュールという町に地下研究所があり、最終処分場もその近くに立地されるそうです。
 フランスの関係者からは日本への期待、日仏協力の必要性が語られました。「日仏両国は資源小国であり、将来は高速増殖炉の時代になる。今後ますます、日仏協力の機会が増えてくるだろう」(フランス原子力庁・プラデル局長)、「これからの商売のターゲットはアメリカと中国だ。日本とフランスは原子力技術について補完関係にある。一緒に売り込んでいきたい」(アレバ社・ベスネヌ副社長)。
 日本の原子力政策は日本が敗戦国であり、原爆被爆国であるという極めて特殊な事情から、複雑な国民感情を抱えながら一歩ずつ進んできた観があります。フランスはそのような原子力アレルギーがないために、明確な国策の下で強力に進められてきました。両国の事情の違いはあるものの、現時点で目指している方向性は完全に一致しています。今後はその政策がぶれることなく、互いに協力し合って前進することが大切だと、今回の旅で痛感しました。

[ 2006年06月26日 ]


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