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竜頭蛇尾

最近では政治家の「特権」は、すべて丸裸にされ、攻撃や羨望の対象になるケースが増えています。

先日も千歳から飛行機に乗り、席に座ったら、あとから乗り込んできた別の国会議員の荷物を航空会社の職員が持ってきた。それを見とがめた一般の乗客が「政治家の荷物だけは運んでやるのか」と物凄い剣幕で食って掛かったそうです。そのとばっちりで、飛行機の出発が40分近く遅れ、たった一人の政治家の大名旅行が、数百人の乗客の貴重な時間を奪う結果となりました。
 覚せい剤事件やら弁護士法違反やら選挙違反やら、政治家が犯す事件はあとを絶ちませんが、そうした政治家の不祥事の影響か、あるいは厳しい財政事情を反映した負担増や経済状態の影響か、国民の政治家を見る目はかつてないほど、厳しくなっています。私が昨年の選挙で訴えた「隗より始めよ3点セット」、即ち@議員年金を廃止するA議員歳費を削るB議員定数を減らすという公約も、国民に負担増をお願いするなら、その前提として議員自ら血を流す必要があるとの考えからです。
 Aの歳費カットは4月から実施されます。そして先日、@に関連した議員年金廃止法案が成立しました。しかしこの法案、みのもんた氏がテレビで厳しく批判しているように、一部に廃止が盛り込まれているものの、議員年金制度そのものは、議員OBに対しても、また10年以上勤めた現職議員に対しても存続する内容を盛り込んでいる、羊頭狗肉、竜頭蛇尾法案です。私のように議員在籍10年に満たない議員の年金はなくなりますが、議員暦が10年を超える議員については、将来15%カットされた年金制度が存続することになりました。年金を受け取らずに、これまで払ってきた納付金の8割を一時金として受け取る選択肢もあります。
 議員年金廃止とうたいながら、なぜこんな中途半端な制度になってしまったのか。それはすでに年金を受け取っている議員OB、また在籍10年を超え将来年金の支給を受ける権利が確定している議員の財産権を奪うことができないとの考え方からです。議員年金の廃止は、こうしたデリケートな問題がありますから、政治決断でなければできないと私は考えていました。しかし結局は、背に腹は替えられない、きわめて現実的な政治判断に収まってしまいました。
 民主党からは年金を全廃する「本格的」な議員年金廃止法案が提出されましたが、否決されました。民主党内には否決されて、ほっとしている議員も多いでしょう。あるいは否決されることを前提に、議員年金廃止の姿勢だけを示そうとするアリバイとして提案したのかも知れない。在籍10年超の民主党議員は将来、年金を選ぶか一時金を選ぶか究極の選択を迫られます。廃止法案を出したのですから、まさか年金を選ぶことはないと思いますが、現実問題として民主党の議員だって、年金を選ぶでしょう。それが人情です。
 今回の改正で問題な点は、これまで公費負担7割が多すぎるとして批判されてきたのに、今後は議員の納付金がなくなり、給付は公費10割負担になることです。制度改正前の平成17年度は、議員年金への公費は21億円。ところが議員の納付がなくなる18年度は、なんと28億円の税金が投入されることになります。何十年かたてば、議員年金制度がなくなるのは、その通りですが、これでは何のための改正かわからない。在籍10年超の議員は今後、年金の掛け金を払わないで、将来、議員年金を受け取る権利を持つ、全く不合理な改正となってしまいました。
 それでもお前は賛成したんだろう、と言われれば、その通りと言わざるを得ません。しかし党内ではこの問題は内容を議論する前から執行部一任の手続きがとられ、中味の議論はほとんどありませんでした。
 結局、在籍10年未満の議員だけが、将来の不安にさらされることになりました。非常に中途半端な結果ですが、こんなおかしな制度いじりではだめだと感じている議員同士で、いま本格的な制度改正の議論を始めている所です。

[ 更新:2006-02-15 ]

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