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GAKU論

北海道愛

 朝の部会で伊吹道州制調査会長と顔を合わせた時、道州制特区法案についての道内一般の反応はどうかと聞かれました。
「関係者により色々ですが、地元の北海道新聞の報道ぶりはひどかったです」「北海道新聞?あれは批判するために書いてるんだから」。 法案の素案決定翌日(4月13日)の北海道新聞は、「妥協 名ばかりの道州制」「道と官邸 同床異夢」「感動なき小さな前進」など極めてネガティブな見出しが躍りました。社説でも「道が自由に地域づくりを進める環境ができるかといえば、前進するのはほんのわずか」「道州制の根本議論のないまま、権限と財源の攻防戦に終始した」「法案は結局、妥協と先送りの産物にすぎない」「道州制は、国と道の新しい関係を築くものだが、そんな感動も生まれようがない」と手厳しい。
 私もこの問題に関わって一年以上になりますが、道新報道のような矛盾や問題点を絶えず意識しながら、「小さな前進」をするためにどうしたらいいか、との視点で取り組んできました。難しかった点は「道州制そのものの設計図や導入の是非が固まっていない段階で、北海道でその特区を推進し、プログラムを決めること」「全国の都道府県の中でも、特に中央依存の度合いが高い北海道が、依存とは逆の自立政策である道州制を志向すること」です。報道における批判のポイントは、道州制問題に内在する、というより北海道の現実に内在しているといえます。
 発端は確かに小泉首相の「思いつき」だったかも知れないが、高橋知事がそれに応え、自民党が政権公約に盛り込んだことで、答えを出す政治責任が生じました。「道州制そのものが未定だから、北海道で先行実施するのは危険」「中央依存の強い北海道での道州制実験は無謀」だから、この試みは止めた方がいいという政治判断もあったでしょう。伊吹会長も常々「北海道で道州制をやるのは、針の穴にラクダを通すようなもの。私だったらやらない」と言っていました。ある時、高橋知事に向かって「なぜ首相の言うことに、飛び乗ったんだ」と面罵した場面にも出くわしました。
 そうは言っても、挑戦する道もあるでしょう。大変苦しい道でした。とにかく国の役所は「道州制のスキームが決まっていないのだから、権限委譲など考えられない」。所管の内閣府は権限委譲を渋る各省を強力に指導するわけでもなく、逆に「地方自立法案なんだから、北海道特例はなくす」ことだけに執着する。特例に触れると、官依存が続く道内の関係者は一斉に反発し、それに呼応して道内議員が反対するという悪循環が続きました。私自身、法案成立は無理かなと思った瞬間も、正直ありました。
 法案の議論の過程で、改めて浮き彫りになったのは、北海道の置かれている現実です。官依存の強い北海道が「国の束縛を離れて、自由に地域づくりを進め」ようとすれば、「権限と財源の攻防戦」になるのは当然のことです。現実問題として、お金はいらないから権限をください、とはならない。国から見たら、金食い虫の北海道を何とかしたい。小泉首相は「開発局は2〜3割減らせ」とまで言っている。そんな中での、法案決定は難しい道のりでした。
 私自身がこの法案を、物足りなく思っています。しかし現時点で道州制特区構想は「小さく生んで、徐々に大きく育てる」しか道はないと思います。その理由は、北海道の現実です。急激な自立を許容しない、北海道の依存の構造です。北海道の現実を変えていくのは、この法案だけではなく、他の色々な政策や道民の意識改革など、トータルな視点です。北海道の地元メディアは、そうした北海道の現実を複合的にとらえて、北海道を情熱を持って伝える「北海道愛」を持ってほしい。

[ 2006年04月14日 ]


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